症例ブログ

2014年10月 8日 水曜日

滲出性中耳炎、癒着性中耳炎


これは4才の男の子の左側の鼓膜です。本来なら鼓膜は太鼓の皮の様に、ピンっと張って、浮き上がっていないといけないのですが、この鼓膜は落ち込んで向こう側の壁にくっついてしまっています。真ん中の丸く白っぽく見える所がくっついている部分で、鼓膜は0.03mmと薄いので、向こうの壁(頭蓋骨)が透けて見えてしまうのです。その周囲にも茶色っぽい滲出液が充満しています。こういう状態を癒着性中耳炎といいます。小さなお子様によく見られる滲出性中耳炎(病院で水の貯まる中耳炎です、と言われた事がある方がいらっしゃると思います)の状態を放置しておくとこの様になる場合があります。この癒着を治すのも難しいのですが、これを更にこのまま放置しておくと、もっと厄介な真珠腫性中耳炎という病気に移行する事があります。これは鼓膜の向こう側の中耳という部屋に空気が入ってないために起こる現象で、その原因は鼻と中耳腔をつないで空気を送る耳管という管が開かない事により惹起されます。子供はその耳管を開く筋肉の発達が弱いため成人よりもこういった病態になりやすいとされています。治療としては兎に角鼓膜の向こう側に空気を入れないといけないので、外来で鼻から耳管を通して強制的に空気を送り込む「通気」という治療を行います。それでも、こういった癒着まで起こしている例ではなかなか治りません。そこで、鼓膜に小さな穴をあけ、そこから空気を入れてあげます。しかしそれだけではすぐ塞がりますので、その穴が塞がらないようにシリコン製のチューブをそこに留置するチュービングという方法を行います。

これがそのチュービングを行った鼓膜です。大きく見えますが、穴は1mm位です。この穴から空気が入るため、自然に鼓膜が浮き上がって来ています。この程度の穴ならば聞こえには全く影響しません。良くなったからと言ってすぐチューブを抜くと穴が塞がりまた滲出液が貯まりますので、2年位はこのままにしておきます。ただこの穴から水が入ると急性中耳炎になりますので、入浴、洗髪、水泳等では耳栓をする等細心の注意を払わなければなりません。このお子さんは両方共にこういう状態で、両方共にチュービングを行いましたが、幸いな事に経過が良く、3年経った今ではチューブも取れて、綺麗な鼓膜の状態を保っています。お子さんが先生から滲出性中耳炎や鼓膜の癒着があるからチューブを入れた方がいいと言われた際は、その後の難治性の中耳炎にならない為にも、是非考慮される治療法であると考えます。

投稿者 医療法人杉本耳鼻咽喉科医院

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